名詞文:主語と述語

A1 الجُمْلَةُ الاسْمِيَّةُ: المُبْتَدَأُ والخَبَر 2 / 70

要点

アラビア語は、二つの名詞だけを並べ、あいだに何も置かずに完全な文を作ります。「その家は大きいです」は البَيْتُ كَبيرٌ で、一語ずつ「その家、大きい」です。アラビア語には現在のコピュラがありません。英語の「is」も日本語の「です」も、二つのあいだに立つ語はありません。だから省くものもなく、活用するものもありません。このように名詞で始まる文が جُمْلَةٌ اسْمِيَّةٌ、名詞文であり、初めて自分で作れる完全な文の型です。前半を定、後半を不定にすれば、もう何かを述べています。

エンジンは語順ではなく、定・不定です。البَيْتُ كَبيرٌ は文ですが、البَيْتُ الكَبيرُ、同じ二語の第二語に الـ を付けただけ、は文ではなく、「その大きな家」という句です。小さな الـ 一つが、主張することと、ものを名指すだけの違いです。英語にはこれに当たる印がありません。日本語では「大きな家」と「家は大きいです」で区別しますが、アラビア語の印は第二語の冠詞です。この対比をいま耳に入れてください。これから20レッスン、A1 で書く文はすべてこれに拠ります。

規則

二つの枠、動詞なし。 前半は المُبْتَدَأ、文字どおり「始めに置いたもの」、いま話題にしている主語です。後半は الخَبَر、「報告」、それについて言うことです。あいだは沈黙です。コピュラも、つなぎの語も、不変化詞もありません。英語では「is」が、日本語では「です」が要ります。アラビア語では間の沈黙だけで足ります。

البَيْتُكَبيرٌ
مُبْتَدَأخَبَر

両半分とも رَفْع の格です。 مُبْتَدَأ も خَبَر も、語尾に ضَمَّة の ـُ を取ります。定の名詞では裸の ـُ です。البَيْتُ。不定の名詞ではタンウィーン ـٌ に重なります。كَبيرٌ。ですから البَيْتُ と كَبيرٌ の目に見える違いは、格の違いでは ありません。どちらも مَرْفوع です。定と不定の違いです。タンウィーンを「第二の格」と読まないでください。

これらの語尾が聞こえるのは、丁寧で改まった朗読だけです。ふだんの話しことばでは、最後の語の末尾の母音は休止で落ち、ふだんの書きことばでは記号は印刷されません。発音ガイドの、母音記号なしのテキストを読むレッスンが、両方の事実を扱います。この学習路はそれでも語尾をすべて印刷します。語尾 が 教えている文法であり、見えないものは学べないからです。

定・不定の非対称が文です。 覚える規則は次です。

  • 定 + 不定 = 文。البَيْتُ كَبيرٌ. 「その家は大きいです。」
  • 定 + 定 = 普通は句。البَيْتُ الكَبيرُ. 「その大きな家。」

二つめでは、形容詞が名詞の الـ を写しています。定を写すのが、修飾する形容詞の働きそのものです(それはレッスン8です)。خَبَر は写しません。نَكِرَة、不定のまま残り、それで読み手は主張がされていると分かります。文が着地しないと感じたら、第二語を見てください。意図せず書いた الـ が、文をラベルに変えています。

خَبَر は名詞でも形容詞でも構いません。 ふるまいは同じです。不定、مَرْفوع、タンウィーン。سَميرٌ مُهَنْدِسٌ 「サミールは技師です」(名詞)と البابُ مَفْتوحٌ 「そのドアは開いています」(形容詞)。英語が「is a teacher」と「is tired」を二つの構文に分けるようには、アラビア語は分けません。

タンウィーンの書き位置。 男性の خَبَر では、二つのダンマが最後の子音に乗ります。كَبيرٌ، جَديدٌ، مُهَنْدِسٌ。ة で終わる女性の خَبَر では、その前の音節のファトハのあと、ة そのものに乗ります。جَميلَةٌ، نَظيفَةٌ، مُتْعَبَةٌ。ة は本物の文字であり、ほかと同じく語尾を取ります。母音記号付きのアラビア語を書くとき、落とすことも、ه に置き換えることもありません。

مُبْتَدَأ は普通は定で、この段階では定にする手段が三つあります。 الـ を付ける(البِنْتُ)、固有名である(سَميرٌ، مُحَمَّدٌ)、代名詞である(أَنا، هُوَ)。多くの固有名はタンウィーンを残します。مُحَمَّدٌ، سَميرٌ。それでも定です。タンウィーンは普通の名詞では不定の印ですが、名前は性質として定です。(名前の一群、أَحْمَدُ، فاطِمَةُ はタンウィーンをまったく取りません。それはレッスン41です。)不定の第一語だけでは文になりません。بَيْتٌ كَبيرٌ はただの「ある大きな家」です。

代名詞の مُبْتَدَأ には格語尾がありません。 أَنا مُدَرِّسٌ، هُوَ مَشْغولٌ، هِيَ مُتْعَبَةٌ. 人称代名詞は مَبْنِيّ、「組み立て済み」、不変化なので、ـُ もほかの格の母音も取りません。هُوَ や أَنْتَ に見える末尾の母音は語そのものの一部であり、語尾ではありません。タンウィーンが見えるのは、あとの خَبَر だけです。フルセットはレッスン6です。

خَبَر は性で一致します。 女性の مُبْتَدَأ は女性の خَبَر を取り、普通は語尾 ة です。البِنْتُ جَميلَةٌ، الحَقيبَةُ ثَقيلَةٌ، القَهْوَةُ ساخِنَةٌ。数の一致は複数のレッスン(9〜12)まで待ちます。複数の代名詞を除き、いまは両半分とも単数にしてください。

ضَميرُ الفَصْل:خَبَر が定でなければならないとき。 本当に言いたいことが、定の後半を要することがあります。「ムハンマドは その 店長です」であり、「ある店長」ではありません。裸で書くと مُحَمَّدٌ المُديرُ は曖昧で、「ムハンマド店長」という名前+肩書きの句にもそのまま読めます。アラビア語は二つのあいだに代名詞を滑り込ませて解消します。ضَميرُ الفَصْل、「区切りの代名詞」です。

مُحَمَّدٌ هُوَ المُديرُ. اللُّغَةُ العَرَبِيَّةُ هِيَ الأَجْمَلُ.

区切りの代名詞は مُبْتَدَأ の性に一致します。男性の主語には هُوَ、女性には هِيَ。主語でも述語でもなく、そして、ここが落とし穴ですが、「is」の訳では ありません。خَبَر が定のときに手を伸ばします。普通の不定の خَبَر では曖昧にするものがなく、ضَميرُ الفَصْل は使いません。البَيْتُ هُوَ كَبيرٌ がその考えの表し方ではありません。

このレッスンのテーマではありません。 名詞文が そうではない と言うには لَيْسَ が要ります(レッスン23)。過去にするには كانَ が要ります(レッスン32)。「持っている」と「〜がある」は述語を前に出す必要があります(レッスン17)。手を伸ばしたくなっても我慢してください。このページのものは、動詞なしで全部働きます。

語形と文型

二つの枠、両方の語尾を付けて

المُبْتَدَأ:定、ـُالخَبَر:不定、ـٌ訳
البَيْتُكَبيرٌその家は大きいです。
الطّالِبُجَديدٌその学生は新しいです。
الجَوُّجَميلٌ天気はすばらしいです。
الدَّرْسُسَهْلٌそのレッスンは易しいです。
أَنامُدَرِّسٌ私は教師です。
سَميرٌمُهَنْدِسٌサミールは技師です。

الطّالِبُ と الدَّرْسُ に注意してください。ط と د は太陽文字なので、冠詞の ل は発音されず、あとの文字が重なります。それはレッスン4です。ここではシャッダを写すだけで十分です。

文か句か。الـ 一つが決める

アラビア語何か訳
البَيْتُ كَبيرٌ.جُمْلَةٌ:文その家は大きいです。
البَيْتُ الكَبيرُ句であり、文ではないその大きな家
المَدينَةُ جَميلَةٌ.جُمْلَةٌ:文その都市は美しいです。
المَدينَةُ الجَميلَةُ句であり、文ではないその美しい都市
السُّؤالُ سَهْلٌ.جُمْلَةٌ:文その質問は易しいです。
السُّؤالُ السَّهْلُ句であり、文ではないその易しい質問

両半分の性の一致

مُذَكَّر(男性)مُؤَنَّث(女性)
الطّالِبُ جَديدٌ.الطّالِبَةُ جَديدَةٌ.
الوَلَدُ نَشيطٌ.البِنْتُ نَشيطَةٌ.
البابُ مَفْتوحٌ.الغُرْفَةُ مَفْتوحَةٌ.
هُوَ مَشْغولٌ.هِيَ مَشْغولَةٌ.

第一の枠の代名詞:代名詞は変わらず、変わるのは خَبَر だけ

مُبْتَدَأخَبَر訳
أَنامُدَرِّسٌ / مُدَرِّسَةٌ私は教師です。
أَنْتَمَشْغولٌ君は忙しい。(男性に)
أَنْتِمَشْغولَةٌ君は忙しい。(女性に)
هُوَطالِبٌ彼は学生です。
هِيَطالِبَةٌ彼女は学生です。
نَحْنُطُلّابٌ私たちは学生です。

أَنا では خَبَر は話し手自身の性に従うので、女性は أَنا مُدَرِّسَةٌ. と言います。双数と複数を含む代名詞のフルセットはレッスン6です。

ضَميرُ الفَصْل:区切りの代名詞

مُبْتَدَأضَميرُ الفَصْلخَبَر(定)訳
مُحَمَّدٌهُوَالمُديرُムハンマドはその店長です。
خالِدٌهُوَالطَّبيبُハーリドはその医者です。
القاهِرَةُهِيَالعاصِمَةُカイロは首都です。
الأُسْتاذَةُهِيَالمُديرَةُその教授は所長です。

ここでは単数の هُوَ / هِيَ だけを表にしています。双数と複数の区切りの代名詞(هُما، هُمْ، هُنَّ)も同じ働きですが、その名詞が教えられるレッスン9〜16まで待ちます。

例文

العربية日本語
البَيْتُ كَبيرٌ.その家は大きいです。
الطّالِبُ جَديدٌ.その学生は新しいです。
الجَوُّ جَميلٌ.天気はすばらしいです。
أَنا مُدَرِّسٌ.私は教師です。
البِنْتُ جَميلَةٌ.その女の子は美しいです。
الحَقيبَةُ ثَقيلَةٌ.そのかばんは重いです。
البابُ مَفْتوحٌ والغُرْفَةُ نَظيفَةٌ.そのドアは開いていて、その部屋はきれいです。
القَهْوَةُ ساخِنَةٌ جِدًّا.そのコーヒーはとても熱いです。
سَميرٌ مُهَنْدِسٌ.サミールは技師です。
هِيَ مُتْعَبَةٌ اليَوْمَ.彼女は今日疲れています。
مُحَمَّدٌ هُوَ المُديرُ.ムハンマドはその店長です。
القاهِرَةُ هِيَ العاصِمَةُ.カイロは首都です。
اللُّغَةُ العَرَبِيَّةُ هِيَ الأَجْمَلُ.アラビア語がいちばん美しいです。
البَحْرُ هادِئٌ والسَّماءُ صافِيَةٌ.海は穏やかで、空は晴れています。

よくある間違い

  • البَيْتُ يَكونُ كَبيرًا. -> البَيْتُ كَبيرٌ.:アラビア語には現在のコピュラがありません。يَكونُ はありますが、「そうなる/習慣としてそうである」という意味であり、この文の単なる「です」ではありません。ここに入れるのは、初心者の文としていちばん見分けやすいものです。
  • البَيْتُ الكَبيرُ.(「その家は大きいです」の意味で)-> البَيْتُ كَبيرٌ.:第二語に الـ を付けると、「その大きな家」という句を書いたことになります。何かを述べる文にするには、خَبَر は不定のままにしてください。
  • البَيْتُ هُوَ كَبيرٌ. -> البَيْتُ كَبيرٌ.:هُوَ は「is」ではありません。区切りの代名詞は定の خَبَر 用であり、كَبيرٌ は定ではありません。
  • مُحَمَّدٌ المُديرُ.(「ムハンマドはその店長です」の意味で)-> مُحَمَّدٌ هُوَ المُديرُ.:هُوَ がないと語は曖昧で、読み手は المُديرُ を名前に付く肩書き、「ムハンマド店長」と取りがちです。欲しい読みを強制するのが代名詞です。
  • البِنْتُ جَميلٌ. -> البِنْتُ جَميلَةٌ.:خَبَر は مُبْتَدَأ の性に一致します。女性の主語には述語に ة が要ります。
  • بَيْتٌ كَبيرٌ.(「その家は大きいです」の意味で)-> البَيْتُ كَبيرٌ.:不定の語が二つ続くと名詞句、「ある大きな家」です。ふつうの二語の文では、مُبْتَدَأ は定でなければなりません。
  • الطّالِبُ جَديدًا. -> الطّالِبُ جَديدٌ.:両半分とも مَرْفوع です。対格の ـً は كانَ の خَبَر のものであり、レッスン32であって、ここではありません。
  • الجَوُّ جَميلُ. -> الجَوُّ جَميلٌ.:جَميل のような普通の名詞では、不定で مَرْفوع なら重なった ـٌ であり、裸の ـُ ではありません。(不定のまま裸の ـُ を取る名詞の一群があります。それはレッスン41です。)
  • اللُّغَةُ العَرَبِيَّةُ هُوَ الأَجْمَلُ. -> اللُّغَةُ العَرَبِيَّةُ هِيَ الأَجْمَلُ.:区切りの代名詞は述語ではなく、主語の性に合わせます。
  • أَنا مُدَرِّسًا. -> أَنا مُدَرِّسٌ.:أَنا そのものは不変化で語尾を取りませんが、あとの خَبَر は普通の不定の مَرْفوع の名詞です。

ヒント

  • 文を 等式 として読んでください。X = Y。等号は書かれず、沈黙であり、英語の「is」も日本語の「です」も、訳し出すときに補うものであって、訳し入れるときには補いません。
  • タンウィーンを聞いてください。 丁寧な朗読では、第二語の末尾の ـٌ が「これは文です」という聞こえる合図です。その語の先頭の الـ は「これはラベルにすぎない」という合図です。
  • 書いたものの第二語を隠して聞いてください。修飾するつもりか、主張するつもりか。 修飾は الـ、主張はタンウィーンです。この一つの確認で、A1 の誤りのほとんどを防げます。
  • خَبَر の枠にそのまま落とせる 対の形容詞 を少しストックしてください。كَبيرٌ / صَغيرٌ، جَديدٌ / قَديمٌ، سَهْلٌ / صَعْبٌ، مَفْتوحٌ / مُغْلَقٌ。それぞれ女性形の ة と初日にセットで覚えましょう。
  • 名前はすでに定 だと覚えてください。タンウィーンを付けていてもです。مُحَمَّدٌ طالِبٌ は完全に整った文です。
  • ضَميرُ الفَصْل を 定の述語との固定ペア として使ってください。後半を定だと 意図した 瞬間、هُوَ か هِيَ に手を伸ばします。アラビア語はなしでもやれますが、あれば文が句に誤読されなくなります。
  • いまは語尾の発音を無視してください。 それで遅くなるなら。文法のドリルでは声に出して読み、話すときは休止で落としてください。発音ガイドの休止形のレッスンがこれを形式化します。
  • まだこれらの文を否定したり過去に移したりしないでください。それに必要なものはレッスン23と32で届きます。この型を現在で使うこと自体が、すでに一つの完結した技能です。